筋トレ前のコーヒーは本当に効く?何杯・何分前が最適か徹底解説
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筋トレ前のコーヒーは本当に効く?

「筋トレ前にコーヒーを飲むと効く」とよく言われますが、実際にどれくらいパフォーマンスが変わるのか、どの程度の量・タイミングが良いのかは、論文ベースで整理されていないことも多いです。

この記事では、2020年以降に発表されたカフェイン×筋トレの論文のみを取り上げて、

  • どのくらいの量が効くのか

  • コーヒー何杯分くらいなのか

  • 飲むタイミングはいつが良いのか

  • 男性・女性で差があるのか

といった点を、複数文献からまとめていきます。

※多くの研究は「カフェイン錠/粉末」を使っており、コーヒーへの当てはめは一部“推論に基づいています”


文献①:最小有効量は「1〜2 mg/kg」でも十分

文献名

Exploring the minimum ergogenic dose of caffeine on resistance exercise performance: A meta-analytic approach
(和訳:カフェインの“最小有効量”が筋トレパフォーマンスに与える影響:メタ解析)
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S089990072200017X

発表年 / 著者 / 雑誌名:
2022年・Grgic J ら・Nutrition 掲載論文


目的

ごく少量(1〜2 mg/kg)のカフェインでも、筋トレにおける「筋力・筋持久力・動作スピード」を向上させられるのかを、既存研究をまとめて検証すること。


方法

本研究では、「少量カフェイン」のみを対象に、筋トレパフォーマンスへの影響をメタ解析しています。

  • 対象研究:カフェイン摂取量が 0.9〜2 mg/kg の筋トレ研究

  • デザイン:プラセボ対照のランダム化試験

  • 被験者:トレーニング経験のある成人

  • アウトカム:

    • 筋力(1RM など)

    • 筋持久力(反復回数、総仕事量など)

    • バーベルの平均挙上速度(mean velocity)

  • 統計解析:ランダム効果モデルによるメタ解析、Cohen’s d による効果量算出


結果

  • 筋力:効果量 d = 0.17(95%CI: 0.03–0.31, p = 0.02)

  • 筋持久力:効果量 d = 0.21(95%CI: 0.07–0.35, p = 0.003)

  • 動作速度(mean velocity):効果量 d = 0.56(95%CI: 0.12–1.01, p = 0.01)

1〜2 mg/kg という少量でも、「筋力・筋持久力・動作スピード」が有意に向上するという結果でした。

著者らは、1〜2 mg/kg のカフェインは、多くの人にとってコーヒー1〜2杯程度に相当すると述べています。


考察

従来は「3〜6 mg/kgくらい飲まないと意味がない」と言われることもありましたが、実際にはコーヒー1〜2杯レベルのカフェイン量でも、筋トレパフォーマンス向上が期待できると示されました。

特に、バーの動作スピードへの効果が比較的大きく、パワー系の動きや速度を重視したいトレーニングとの相性が良いと考えられます。


文献②:女性だけを対象にしたメタ解析

文献名

Ergogenic Effects of Acute Caffeine Intake on Muscular Endurance and Muscular Strength in Women: A Meta-Analysis
(和訳:急性カフェイン摂取が女性の筋持久力・筋力に与える効果:メタ解析)
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34072182/

発表年 / 著者 / 雑誌名:
2021年・Grgic J ら・Nutrients 掲載論文


目的

カフェイン研究は男性のデータが中心になりがちです。
このメタ解析では、女性に限定して、カフェインが筋持久力・筋力に与える影響を評価することが目的とされています。


方法

女性のみを対象としたカフェイン×筋トレ研究を収集し、メタ解析を実施しています。

  • 対象研究:

    • 女性のみを対象

    • プラセボ対照・クロスオーバーデザイン

    • カフェイン摂取後に上半身または下半身の筋トレを実施

  • 採用研究数:8本

  • アウトカム:

    • 筋持久力(反復回数、総仕事量など)

    • 最大筋力(主に1RM)

  • 解析:ランダム効果モデルで標準化平均差(SMD)を算出


結果

  • 全体(すべての筋トレ種目):

    • 筋持久力:SMD = 0.25(p = 0.027)

    • 筋力:SMD = 0.18(p < 0.001)

  • 上半身種目のみ:

    • 筋持久力:SMD = 0.20(p = 0.007)

    • 筋力:SMD = 0.17(p < 0.001)

  • 下半身種目のみ:

    • 筋持久力・筋力ともに有意差が出ない傾向(p ≒ 0.09〜0.10)


考察

女性においても、カフェインは筋持久力・筋力を小〜中程度向上させることが示されました。

一方で、上半身では比較的一貫した効果が見られるのに対し、下半身については有意差が出ない研究も多く、エビデンスはまだ限定的です。
著者らは、「女性でもカフェインの恩恵があるものの、下半身への効果については今後の研究が必要」と結論づけています。


文献③:筋トレ中の「パワー(速度・出力)」に対する最新メタ解析

文献名

Effects of acute caffeine intake on muscular power during resistance exercise: a systematic review and meta-analysis
(和訳:急性カフェイン摂取が筋トレ中の筋パワーに与える影響:システマティックレビュー&メタ解析)
URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12537405/

発表年 / 著者 / 雑誌名:
2025年・Ding L ら・Frontiers in Nutrition 掲載論文


目的

カフェインが筋トレ中の「パワー系指標(バーの速度・パワー出力)」にどの程度効くかを、最新の研究も含めてメタ解析で評価すること。


方法

バー速度やパワー出力をアウトカムにした筋トレ研究だけを集中的に解析しています。

  • 対象研究:

    • 急性カフェイン摂取+筋トレを含む研究

    • プラセボ対照デザイン

    • バーベル速度(mean velocity)や平均パワー(mean power output)を測定

  • 採用研究数・被験者数:12研究・合計約230名

  • カフェイン条件:1〜6 mg/kg 程度まで幅広い量

  • サブ解析項目:

    • 性別(男性・女性)

    • 日常のカフェイン摂取量(多い/少ない)

    • 筋群(上半身・下半身)

    • 負荷強度(%1RM)


結果

  • 平均バー速度:SMD = 0.42(p < 0.05)

  • 平均パワー出力:SMD = 0.21(p < 0.05)

カフェインは、筋トレ中の動作スピードとパワーを有意に向上させるという結果でした。

主なサブ解析のポイントは以下の通りです。

  • 男性の方が効果が大きい(mean velocity の SMD:男性 0.56 vs 女性 0.22)

  • 日常のカフェイン摂取量が 3 mg/kg/日未満の人の方が効果が大きい(SMD 0.87 vs 0.21)

  • 低強度〜高強度(<30〜>70%1RM)まで、幅広い負荷でパワー向上効果が認められる


考察

カフェインは、「重い重量を速く挙げる」「バーを爆発的に動かす」といったパワー系の動きに特に有利であることが示唆されました。

また、普段あまりカフェインを摂っていない人ほど効果が大きい傾向があり、日常的なカフェイン摂取量が多いと、どうしても感受性が落ちてしまう可能性があります。


文献④:いつ飲むのがベスト?「1時間前」がもっとも安定

文献名

Caffeine Timing Improves Lower-Body Muscular Performance: A Randomized Trial
(和訳:カフェイン摂取タイミングは下半身の筋パフォーマンスを改善する:無作為化試験)
URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2020.585900/full

発表年 / 著者 / 雑誌名:
2020年・Harty PS ら・Frontiers in Nutrition 掲載論文


目的

  • カフェインを筋トレ前のどのタイミングで摂取するのがもっとも効果的かを検証すること

  • あわせて、男女差があるかどうかも評価すること


方法

同一被験者に複数条件を経験させるクロスオーバー試験で、摂取タイミングの違いを比較しています。

  • 対象者:筋トレ経験のある男女

    • 男性18名(平均25歳)、女性11名(平均20歳)

  • デザイン:ランダム化・二重盲検・プラセボ対照・クロスオーバー

  • 条件:体重あたり 6 mg/kg のカフェインを

    • 筋トレ開始の2時間前

    • 1時間前

    • 30分前
      のいずれかで摂取(+プラセボ条件)

  • テスト内容:すべて下半身のパフォーマンスを評価

    • 等尺性ミッドサイプル(IMTP)

    • カウンタームーブメントジャンプ(CMVJ)

    • 等尺性/等速性膝伸展テスト


結果

  • 「1時間前」に摂取した条件では、ジャンプ高や一部筋力指標がプラセボより有意に向上

  • 30分前摂取でも一部の指標で改善は見られるが、1時間前ほど一貫していない

  • 総合的に見ると、「1時間前」がもっとも安定してパフォーマンスを向上させるタイミングと結論づけられた

  • 男性の方が女性よりもカフェインの恩恵を受けやすい傾向も報告されている


考察

筋トレ前にカフェインを摂るなら、「トレーニング開始の約1時間前」がもっとも妥当なタイミングと考えられます。

特に、ジャンプや下半身の爆発的な動きが求められる種目では、1時間前摂取でのパフォーマンス改善が顕著でした。
男女差については、男性の方が反応が大きいものの、女性でも一定の改善は見られています。


4つの文献から見える「コーヒー×筋トレ」の全体像

1. コーヒー何杯分くらいで効果が出るのか?

  • 1〜2 mg/kg のカフェインでも筋力・筋持久力・バー速度が有意に向上

  • 一般的な240mL(8 oz)のドリップコーヒーには、約95 mg前後のカフェインが含まれるとされます

  • 体重70 kgの人の場合:

    • 1 mg/kg = 70 mg(コーヒー約0.7杯分)

    • 2 mg/kg = 140 mg(コーヒー約1.5杯分)

体重60〜70 kgであれば、トレ前にコーヒー1〜2杯程度が、論文上の“有効量”にほぼ相当すると考えられます。

※この部分は、論文データをもとにした換算であり、一部推論に基づいています。


2. どのような効果が期待できるか?

  • 最大筋力のわずかな向上

  • 同じ重量でも「あと1〜2回多く挙がる」程度の筋持久力アップ

  • バーの動作スピードやパワー出力の改善

※この具体的な「あと1〜2回」という表現は、効果量を実際のトレーニングにイメージしやすく言い換えたものであり、推論に基づいています。


3. 飲むタイミングは?

  • ランダム化試験の結果から、トレーニングの約1時間前にカフェインを摂取するのが最も安定してパフォーマンス改善をもたらすと報告されています。

  • コーヒーの場合も、カフェインの血中濃度ピークが摂取後30〜60分前後であることから、トレーニング1時間前に飲むのが現実的な目安です。

※薬物動態の知見からの当てはめであり、一部推論に基づいています。


4. 日常的にコーヒーをよく飲む人は?

  • 日常のカフェイン摂取量が少ない人ほど、カフェインによるパワー改善効果が大きいと報告されています。

  • 逆に、ふだんからカフェインを大量に摂っていると、同じ量を飲んでも効果が出にくくなる可能性があります。

※この点は研究のサブ解析と、カフェイン耐性に関する一般的な知見を組み合わせたものであり、一部推論に基づいています。


5. 男性と女性の違い

  • 男性:

    • 筋力・パワー・バー速度などに一貫した改善が見られやすい

  • 女性:

    • 上半身では効果が出ているが、下半身については有意差が出ない研究もあり、エビデンスはまだ少ない


実践ガイド:筋トレ前のコーヒーをどう使うか

ここからは、上記の研究結果をもとにした実践的な提案です(※一部推論を含みます)。

量の目安

  • 目安:1〜3 mg/kg のカフェイン

  • 体重60〜70 kgなら、コーヒー1〜2杯(8〜10 oz 程度)

まずは1杯から試し、効きを感じにくい場合に2杯まで増やすくらいが現実的なラインです。


タイミング

  • 筋トレの約60分前に飲む

  • 自宅でコーヒーを淹れてからジムへ行く人は、「出かける直前〜ジム到着くらい」のタイミングがちょうど良いイメージです。


どんな日・どんなメニューと相性が良いか

  • 高重量の日(5〜8回狙いのセット)

  • ベンチプレスやスクワットなど、バーの動きを速くしたい日

  • スプリント系、ジャンプ系などのパワートレーニング

一方で、テクニック重視の日や、メンタル的に落ち着いてフォームを確認したい日は、カフェインなしでも良い場合があります。


注意点(健康面)

  • 一般的には、健康な成人で1日400 mgまでのカフェイン摂取は安全とされています。

  • 妊娠中は1日200 mgまでが推奨上限という報告が多く、妊婦さんは特に慎重なコントロールが必要です。

  • コーヒー以外にも、エナジードリンク、緑茶、サプリなどにカフェインが含まれているため、トータル摂取量に注意する必要があります。


まとめ

  • コーヒー1〜2杯に相当するカフェイン量(1〜2 mg/kg)でも、筋力・筋持久力・パワーは有意に向上しうる。

  • 筋トレ前に飲むなら、開始約1時間前がもっとも安定して効果が出やすい。

  • 日常的にカフェイン摂取量が多い人ほど、効果が薄くなる可能性がある。

  • 男性だけでなく女性にも効果はあるが、下半身種目については今後の研究が必要。

コーヒーは手軽でコストも低く、日常生活に取り入れやすい“合法ドーピング”的な位置づけのサポート手段と言えます。
ただし、睡眠を削ってまで飲むのは本末転倒なので、あくまでトレーニングの質を少し底上げするためのツールとして上手に活用するのが良さそうです。


参考文献(すべて2020年以降)

  1. Grgic J, et al. Exploring the minimum ergogenic dose of caffeine on resistance exercise performance: A meta-analytic approach. Nutrition. 2022.
     URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S089990072200017X

  2. Grgic J, et al. Ergogenic Effects of Acute Caffeine Intake on Muscular Endurance and Muscular Strength in Women: A Meta-Analysis. Nutrients. 2021.
     URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34072182/

  3. Ding L, et al. Effects of acute caffeine intake on muscular power during resistance exercise: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Nutrition. 2025.
     URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12537405/

  4. Harty PS, et al. Caffeine Timing Improves Lower-Body Muscular Performance: A Randomized Trial. Frontiers in Nutrition. 2020.
     URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2020.585900/full

  5. Mayo Clinic. Caffeine content for coffee, tea, soda and more.
     URL:https://www.mayoclinic.org/health/caffeine/AN01211

  6. GoodRx. How much caffeine is in coffee?
     URL:https://www.goodrx.com/well-being/diet-nutrition/how-much-caffeine-is-in-coffee

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