忘年会や新年会、そして歓迎会や花見とこれからの時期にはお酒の機会が増えてきますね。
「お酒は百薬の長」とも言いますが、筋トレという観点でも同様なのでしょうか。
今回は筋トレとアルコールの関係について紹介したいと思います。
①お酒は筋トレ後の回復を阻害する!?
文献名:Acute alcohol consumption aggravates the decline in muscle performance following strenuous eccentric exercise
(激しいアルコール消費は、激しい偏心運動後の筋肉パフォーマンスの低下を悪化させる)
この研究は2010年にニュージーランドのマッセイ大学のMatthew. J. Barnesらによって発表されたものです。
研究プロトコール
①対象は11人の健康な男性
②片足スクワットさせた後に1 g / kg体重のエタノール(ウォッカおよびオレンジジュース)(ALC)を含む飲料を飲む。
③別の機会に、反対側の脚で同程度の運動を行い、その後等カロリー量のオレンジジュース(OJ)を飲む。
研究評価
膝全体に生じる最大等速(同心および偏心)および等尺性トルク、血漿クレアチンキナーゼ(CK)濃度、筋肉痛
測定は、各運動の前後36および60時間で実施
結果
筋肉パフォーマンスのすべての測定値は、運動前の測定値と比較して、運動後36および60時間で有意に減少しました(すべてp <0.05)。
ピーク強度の最大の減少は36時間となり、OJ等尺性収縮、同心円収縮、偏心収縮でそれぞれ12%、28%、19%の損失が発生しました。ただし、ALCのピーク強度損失は大幅に大きく、同じパフォーマンス測定値はそれぞれ34%、40%、34%減少しました。
運動後の血漿クレアチンキナーゼ活性と筋肉痛の評価は、条件間での有意差はなかった(両方ともp> 0.05)。
各群における36時間後のピーク強度損失表
つまり、1 g / kg体重のエタノール摂取は筋トレ後の回復(広くは筋肥大)を阻害すると言えます。
②けど、低用量のアルコールなら問題ない!?
文献名:A low dose of alcohol does not impact skeletal muscle performance after exercise-induced muscle damage
(低用量のアルコールは、運動誘発性の筋肉損傷後の骨格筋のパフォーマンスに影響を与えない)
上記①にて紹介しました文献と同じくMatthew J. Barnesらによって発表されました研究内容となります。
①とプロトコールはほぼ変えず、10名の健康な男性を対象に実施しております。しかしながら、摂取するアルコールは体重1 kgあたり0.5 gと半量の飲酒と変更し計測しております。
結果として、この研究では両条件下でも優位的な筋トレ後の回復がみられました。
③筋トレ後の最適な飲酒量は??
これら研究結果を踏まえると、筋トレ後に飲酒をしたい場合は摂取するアルコールは体重1 kgあたり0.5 gを基準に考えればよいと言えます。
では各体重別にどれくらいの量が飲めるのか表にまとめましたので参照ください。
これより、例えば体重80㎏の人の場合はビールならばロング缶2本以内に抑えたほうがいいということが分かります。
また、補足ですが1週間におけるアルコール摂取量が100gを超えると死亡リスクが格段に上昇するという研究結果があり、筋肉の為にも健康のためにもアルコールは程ほどが一番良いと言えます。
参考文献
①文献名:Acute alcohol consumption aggravates the decline in muscle performance following strenuous eccentric exercise
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1440244009000036
②文献名:A low dose of alcohol does not impact skeletal muscle performance after exercise-induced muscle damage
https://link.springer.com/article/10.1007/s00421-010-1655-8