【筋力増加】音楽×筋トレにおける影響・効果【ストレス軽減】①

最近、音楽を聴きながら筋トレしている人が増えています。

近年のフィットネスブームによりジムに若年層の方が多く散見されるようになっていることや

フルワイヤレスイヤホンが普及してきて、トレーニング下でも有線のわずらわしさを気にせず音楽を楽しめるようになったことが大きな要因ではないでしょうか。

しかしながら、筋トレにおいて果たして音楽を聴くという行為はプラスに働くのでしょうか?

今回はそんな観点からいくつか論文を紹介しようと思います。参考になれば幸いです。

音楽を聴くことで起こる影響

そもそも音楽を聴くことでどのような影響が体内に起こっているのでしょうか。

こちらで紹介しますのは奈良教育大学の福井教授らによって発表され、2003年に01 Jun 2003, 24(3-4):173-180に掲載されているものです。

文献名:The effects of music and visual stress on testosterone and cortisol in men and women.
(音楽と視覚的ストレスが男女のテストステロンとコルチゾールに与える影響について)

補足説明
・テストステロンって??
男性ホルモンの1種です。骨格や筋肉などを強化し、強靭な肉体を形成し生殖機能を向上させることが有名です。他にはストレス処理を促すことで精神の安定を保つことや「幸福感」 をもたらすドーパミンの産生。集中力、記憶力の向上。また身体面でも血管を若く保つ働きをもち生活習慣病のリスクを下げたりとを心身の健康に関わるとされています。
・コルチゾールって??
副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの1種。炭水化物、脂肪、およびタンパク代謝を制御し、生体にとって必須のホルモンである。3種の糖質コルチコイドの中で最も生体内量が多く、糖質コルチコイド活性の約95%はこれによる。ストレスによっても分泌が亢進される。分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらすとされています。

対象
健康な大学生88名(男性44名、女性44名)

プロトコル
・上記被験者の唾液中のテストステロン(T)とコルチゾール(C)の濃度を測定した。これらの被験者は、4つの異なる条件のいずれかに置かれた。
(1)30分間の音楽鑑賞
(2)30分間の音楽鑑賞と視覚的ストレス(暴力シーンを含む音のないドキュメンタリー映画)
(3)30分間の音楽鑑賞なしの視覚的ストレス
(4)30分間の無音
・介入前と介入後の2回に分けて唾液を採取した。唾液中のTとCの濃度をラジオイムノアッセイ(RIA)で測定した。

結果
音楽がTに与える影響は、男女間で有意な差があった。男性ではTが減少し、女性ではTが増加した。Cについては、いずれの条件でも性差は認められなかった。Cは、音楽によって減少し、他の条件では増加した。

 

音楽を聴くことで男性ではテストステロンが減少しております。一方で女性では増加しております。本試験で用いられた音楽の詳細が記載されていないため、一概には言えませんがテストステロンは筋肥大にも影響を及ぼす為、女性と音楽はフィットネス下において相性がいいとも考えられます。

では、男性では筋トレ×音楽は相性が悪いのでしょうか。この疑問に応えるために続いて2つ目の研究文献を紹介しようと思います。また、コルチゾールが減少していることから男女関わらずストレスの軽減という観点からは音楽はとても有効であることが本文献から分かりました。

男性における音楽×筋トレの影響

文献名:Effects of Preferred vs. Nonpreferred Music on Resistance Exercise Performance

(好みの音楽と好みでない音楽が筋トレのパフォーマンスに及ぼす影響)

 

対象

筋トレを行っている大学生程度の年齢男性12

(年齢=20.5±1.24歳,身長=183.9±6.8cm,体重=97.0±18.2kg

 

プロトコル

・各被験者に好みの音楽と好みの音楽を聴いてのベンチプレスと好みではない曲を聴きながらのベンチプレスを実施する。

・各ベンチプレステストは48時間のウォッシュアウト期間で区切られた。

・ベンチプレステストは1REPの限界重量の75%の重量で実施され、可能な限り回数を行うというものであった。

・バーベル運動のパワーと速度は、最初の3回の反復において、リニア・ポジション・トランスデューサーを用いて測定した。動機づけは,運動直後に視覚的アナログスケールを用いて測定した。

 

結果

好みの音楽を聴くことで,ベンチプレスの総反復回数が増加した(p = 0.005,効果量 [ES] = 0.84)

最初の3回の反復において、平均速度(p = 0.001; ES = 1.6)、相対的平均パワー(p = 0.012; ES = 0.55)、ピーク速度(p = 0.011; ES = 0.99)、ピークパワー(p = 0.009; ES = 0.35)は、好みの音楽を聴いている時の方が、そうでない時よりも高かった。

最後に,リフト中のモチベーション(p < 0.001; ES = 5.9)は,好みの音楽を聴いているときとそうでないときとでは,有意に高かった。

筋トレのモチベーションについて興味がある方は

も参照ください。

 まとめ

 今回紹介しました内容はいずれも音楽が人体に与える影響を中心に紹介しております。

そのため、無音環境×筋トレのグループと比較したものではないことをご了承下さいませ。この点において、この分野の調査はまだまだ必要であると考えられます。

今回の内容をまとめると以下のようになります。

音楽が及ぼすホルモンバランスの変化
・音楽を聴くことで男性はテストステロンが低下した。
・音楽を聴くことで女性はテストステロンが増加した。
・コルチゾールは音楽を聴くことで男女問わず低下した。
男性が音楽を聴いて筋トレした効果
・好みの音楽は筋トレの反復回数を増加させる
・最初の3回の反復において、平均速度、相対的平均パワー、ピーク速度、ピークパワーのいずれにおいても好みの音楽は有効であった。
・好みの音楽は筋トレ中のモチベーションを優位に増加させた。

参考文献

・The effects of music and visual stress on testosterone and cortisol in men and women.

https://europepmc.org/abstract/med/14523353

・Effects of Preferred vs. Nonpreferred Music on Resistance Exercise Performance

https://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/2021/06000/Effects_of_Preferred_vs__Nonpreferred_Music_on.23.aspx

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