➀はじめに…
ケトジェニックダイエットとは一般的に低炭水化物・高脂質食ダイエットのことを指すものです。その方法や内容については以前の関連記事「【糖質制限?】失敗しないダイエット方法まとめ【脂質制限?】」等をご参照いただけたらと思います。
今回、そんなケトジェニックダイエットの効果を実証する文献が発表されました。特に男性にとっては朗報な内容となっております。
➁ケトジェニックの効果を検証した(研究紹介)
文献名:Effects of Ketogenic Dieting on Body Composition, Strength, Power, and Hormonal Profiles in Resistance Training Men
(ケトジェニックダイエットが筋トレ男性における体組成、強度、筋力、ホルモンプロファイルに及ぼす影響)
この研究はフロリダ州にある応用科学・パフォーマンス研究所のウィルソンジェイコブ氏らによって発表され、2020年12月にJournal of Strength and Conditioning Research誌に掲載されたものとなっております。
目的
ケトジェニックと伝統的な西洋の食事を比較し、抵抗訓練を受けたアスリートの体組成、性能、血中脂質、およびホルモンプロファイルの変化に及ぼす影響を調査した。
対象
25名の男子大学生
プロトコル
・対象の25名の男子大学生は11週間のトレーニングプログラムに参加します。
・トレーニングに平行し10週間、男子大学生を以下の2群に分け食事管理を実行します。
ケトジェニック食群
一般的な西洋食群
・10週完了後、11週までの1週間に通常食(炭水化物)の再導入を行います。
評価
・体組成、強度、筋力、血中脂質値は0、10、11週に測定。
・代謝量とテストステロンレベルは0週と11週に測定。
結果
・除脂肪体重量(LBM)
10週目での変化量
(ケトジェニック群2.4%および西洋食群4.4%、p <0.01)
10~11週目の炭水化物再導入期
(ケトジェニック群4.8%および西洋食群0%、p <0.0001)
・脂肪量
ケトジェニック群(-2.2±1.2 kg)と西洋食群(-1.5±1.6 kg)
・強度と筋力
両群で1週目から11週目まで同じ程度に増加しました。
・血清脂質測定値
10週目までの変化量
両群に変化はなし。
10~11週目の炭水化物再導入期
ケトジェニック群の血漿トリグリセリド値を上昇させました。
・総テストステロン値
西洋食群(-36 ng・dl-1)と比較して、ケトジェニック群(118ng・dl-1)の0週から11週まで有意に増加しました。
➂まとめ
本研究においてケトジェニックダイエットのメリット・デメリットは以下にまとめることができます。
・メリット
➀テストステロン値が増加することにより筋肉量の増加が見込める。
※上記効果はケトジェニック期間後も一定期間は効果が持続する。
➁脂肪量は減少を示した。
・デメリット
➀ケトジェニック期間後の炭水化物食は急なトリグリセリド値の上昇がみられる。(※1:補足)
※1:補足/トリグリセリドとは
トリグリセリドは活動するための重要なエネルギー源です。 しかし、増えすぎると、LDLコレステロールを増やし、HDLコレステロールを減らしてしまいます。 この状態を放置すると、動脈硬化が引き起こされ、さらには心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因にもなりかねません。動脈硬化を予防するためにはLDLコレステロールだけではなく、トリグリセリドにも注意が必要です。
ケトジェニックダイエットはテストステロン値の上昇を伴うため、筋トレと組み合わせることでより高い効果を得ることができるということが分かりました。また、その効果は持続的で食生活を戻した後も1週間程度なら維持されることが示されています。つまり、減量期におけるチートデイとの相性も良いとも考えられます。
しかし、一方でトリグリセリド(TG)値がもともと高値の方にはあまりオススメできないとも言えます。もしもそのような方がケトジェニックダイエットを行う場合は、期間後は段階的に食事を補正していくことをオススメします。
参照
➀本文献引用
➁脂質異常症とは