脚部は人体の中でも上位に入るくらい多くの筋肉量を持った部位です。
高齢期になると脚部の筋肉量も落ちてくるため、長く自身の足で歩きたい方はもちろん普段からのトレーニングが重要になってきます。
また、筋肉量は代謝にも密接に関わってくるためダイエットや減量においても脚部の筋肉は重要となります。
しかしながら大胸筋や広背筋に比べて、脚部のトレーニングはトレーニーの中でも避けられがちであることは否めません。アメリカなどでは上半身のみ鍛えて下半身が貧弱な人のことをチキンレッグ(鳥の足)と比喩されるほどです。
それだけ脚トレは苦痛を伴うものです。
今回はそんな脚トレのうちハムストリングについての基礎から最新の論文まで幅広く紹介していきたいと思います。
特にハムストリングは足をよく使うサッカー選手などに有用な内容となっております。
脚トレはダイエットへの近道!(ただしキツイ)
ダイエットと代謝量は密接な関係があります。これは周知の事実であると思います。
つまり、大きな筋肉を動作させていくことが体の基礎代謝を上げることにつながり、結果として痩せやすく太りにくい体つくりをすることができるのです。
では以下に体の中で大きな筋肉のTOP3を紹介していきます。
①大腿四頭筋
大腿四頭筋は太ももの全面に位置する筋肉です。
大腿四頭筋は文字通り4つの頭を持っており、大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋と呼ばれる4つの筋肉で構成されています。
その体積は1913㎥と人体の中でも最大となっています。
②大殿筋
大殿筋はおしりの筋肉です。
表皮から大臀筋の下に中臀筋、その下に小臀筋が存在します。人は直立二足歩行をするため、四足歩行のサルなどと比べても大臀筋が発達しています。
最近は女性を中心にこの部位をトレーニングすることが流行っています。
その体積は864㎥と人体の中で2番目に大きな筋肉となっています。
③ハムストリング
本記事の対象の部位です。
詳細は次章にて記載しますが、体積776㎥と人体の中で3番目に大きな筋肉となっています。
このように、人体の大きな筋肉は下半身に集まっており、脚トレが以下にダイエットに有効か分かります。
ハムストリングって何?
ハムストリングとは平たく言えば太ももの裏側の筋肉グループのことを指します。
その内容としては3つの筋肉に分類することができます。
大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つであり、これらによりハムストリングは膝の屈曲と股関節の伸展の2つをメインに動作が可能となります。
また各筋肉単体では膝関節や下腿の旋回といった動作にも関わっております。
大腿二頭筋
大腿二頭筋は股および膝の関節をまたいでいる二関節筋の為、股関節と膝の動きに関連しております。
また、二頭という名前の通り2つ頭を持っており、大腿二頭筋長頭と大腿二頭筋短頭の2つの総称となっております。
半膜様筋
半膜様筋は半腱様筋という筋肉に並走する形で存在する大腿二頭筋同様の二関節筋です。
半膜様筋は膝関節の屈曲、股関節の伸展とともに膝関節の内旋と股関節の内旋にも関与する筋肉です。
半腱様筋
半腱様筋は半膜様筋を覆うように存在する筋肉です。
半膜様筋と同様に、膝関節の屈曲と股関節の伸展動作に関与する二関節筋です。
この筋肉はダッシュの急制動で大きな負荷が特にかかる筋肉のため、サッカー選手などで肉離れを起こす個所の1つです。
ハムストリングの肉離れ注意(下肢の肉離れ発生部No.1)
文献名:スポーツ選手におけるハムストリングスの肉離れ受傷に影響を及ぼす因子の検討
京都大学医学部付属病院リハビリテーション部の西村PTらによって2012年にスポーツ障害にて掲載された本研究はハムストリングの危険因子の評価を行ったものになります。
対象
男子大学ラグビー部員70名(年齢:19.1±1.2歳,身長: 173.0±5.5cm,体重:72.1±7.7kg)
評価
各シーズンごとに肉離れの受傷を算出し、パフォーマンステスト・下肢筋力テスト・柔軟性テストを実施
結果
文献考察
この文献では全期間における肉離れ受傷率は10%でした。これは、126名のオーストラリアンフット ボール選手を対象とした研究で,ハムストリングの肉離れの受傷率は20名(16%)であったとの報告があり, 本研究におけるハムストリングの肉離れの受傷率と同程度であることから信頼性の高いデータであることが分かります。
また、結果より膝関節屈曲筋力はハムストリングの肉離れの受傷群では非受傷群と比較して,60deg/secで は約25%,180deg/secでは約17%低い値を示し,両群間で有意差がありました。
つまり、ハムストリングの肉離れをしやすい選手は膝関節屈曲筋力が低いと言えます。
※膝関節屈曲筋力は以下の補足を参照ください
これらより、代謝を上げながら、かつ肉離れなど怪我の予防のためにもハムストリングの筋トレは欠かせないことが分かります。
半腱様筋 (ハムストリング)
大腿二頭筋 (ハムストリング)
腓腹筋
薄筋
縫工筋
膝窩筋
(参照:プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典)