【高重量と低重量】筋肥大に有利なのは?最新メタ解析を実施
Screenshot

はじめに

筋トレの現場でよく出る悩みのひとつが、

「高重量で低回数か、軽めで高回数か、どっちが筋肥大に効くの?」

というテーマです。

「筋肉を大きくしたいなら高重量一択」という考えもあれば、
「最近の研究だと“軽い重量でも絞り切れば同じ”って聞いた」という話もあります。

本記事では、2015年以降に出ている高重量 vs 低重量のメタ解析・系統的レビューを中心に、

  • 筋肥大(サイズ)

  • 筋力(1RM)

  • 筋線維レベル(タイプI / II)

について、エビデンスベースで整理します。


結論

  • 筋肥大だけ見ると「高重量でも低重量でもほぼ同じ」
    → ただし「限界まで追い込む(筋力的限界まで)」ことが前提PubMed+2PubMed+2

  • 最大筋力(1RM)は、高重量の方が明確に有利PubMed+3PubMed+3PubMed+3

  • 筋線維レベル(タイプI / II)の肥大に関しても、
    現時点では「高重量・低重量で大差なし」というメタ解析結果PubMed+1

ここからは、代表的な文献を順番に見ていきます。


文献1(2017 / Schoenfeldら)高重量 vs 低重量:筋肥大はほぼ同じ、筋力は高重量有利

文献名
Strength and hypertrophy adaptations between low- vs. high-load resistance training: a systematic review and meta-analysis
(和訳)低負荷 vs 高負荷筋トレにおける筋力・筋肥大の適応:システマティックレビューとメタ解析PubMed

URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28834797/

発表年 / 著者 / 掲載誌
2017年、Schoenfeld BJ ら、Journal of Strength and Conditioning Research 誌に掲載。PubMed


目的

低負荷(≦60%1RM)と高負荷(>60%1RM)の筋トレを比較し、筋肥大と筋力の変化に差があるかを、既存研究をまとめて検証すること。


方法(説明+箇条書き)

既存のランダム化比較試験を集めて、
「低負荷 vs 高負荷を比較した研究だけ」を対象にメタ解析を行っています。

  • 文献検索:PubMed / Cochrane / Scopus など

  • 条件:

    • 低負荷(≦60%1RM)と高負荷(>60%1RM)を比較

    • 両群とも各セットを筋力的限界(failure)まで実施

    • 介入期間6週間以上

    • 健常成人を対象

    • 筋量(筋断面積など)または筋力(1RMなど)を評価

  • 最終的に採用された研究:

    • 変化量データを抽出し、筋肥大・筋力それぞれで効果量を算出


結果

  • 筋肥大(筋量の増加):

    • 低負荷群・高負荷群ともに有意に増加

    • 両者の差は 統計的に有意ではなく、「ほぼ同じ」PubMed

  • 筋力(1RMなど):

    • 高負荷群の方が、明確に大きく伸びる という結果

    • 低負荷でも筋力は伸びるが、高負荷の方が上乗せが大きい


考察

  • 筋肥大に関しては「軽くても重くても、限界までやれば同程度のサイズアップが望める」

  • ただし、最大筋力を重視する場合は高重量が必須

  • 実務的には、

    • 「デカくしたい」のが一番の目的 → 低負荷も選択肢

    • 「重量も伸ばしたい」 → 高負荷を外さない方がいい
      という整理になります(この部分は文献の結論に基づいた要約+推論です)。


文献2(2021 / Sartoら)メタ解析:筋肥大は負荷に依存せず、筋力は高負荷有利

文献名
Resistance Training Load Effects on Muscle Hypertrophy and Strength Gain: Systematic Review and Network Meta-analysis
(和訳)筋トレの負荷が筋肥大と筋力に与える影響:システマティックレビューとネットワークメタ解析PubMed+1

URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33433148/

発表年 / 著者 / 掲載誌
2021年、Sarto F ら、Medicine & Science in Sports & Exercise 誌に掲載。PubMed+1


目的

低負荷・中負荷・高負荷それぞれの筋トレが、

  • 筋肥大

  • 筋力

に与える影響を比較し、どの負荷帯が最も有利なのかを網羅的に評価すること。


方法(説明+箇条書き)

この研究は、通常のメタ解析より一歩すすんだ「ネットワークメタ解析」を採用しています。

  • 文献検索:MEDLINE, CINAHL, EMBASE, SPORTDiscus, Web of Science

  • 負荷区分:

    • 低負荷:>15RM(≒<60%1RM)

    • 中負荷:9–15RM

    • 高負荷:≦8RM(≒≧80%1RM)

  • 条件:

    • 全セットを自発的限界(volitional failure)まで実施

    • 健常成人

    • 筋肥大または筋力のデータあり

  • 最終的に、28研究・747名が解析対象。Ovid


結果

  • 筋肥大:

    • 低・中・高負荷の間で、有意な差は見られず

    • どの負荷帯でも、限界までやれば筋肥大は同程度という結果PubMed+1

  • 筋力:

    • 高負荷 ≧ 中負荷 > 低負荷

    • 高負荷・中負荷は低負荷より明らかに有利

    • 高負荷 vs 中負荷は、わずかに高負荷有利な傾向


考察

  • 筋肥大だけを見れば、「負荷はかなり自由度が高い」。

  • しかし筋力の伸びを考えると、低負荷オンリーは分が悪いPubMed+2Ovid+2

  • 実務的には、

    • 「高負荷+中負荷」を軸にしつつ、

    • 部位や関節への負担を考えて一部低負荷も混ぜる、
      という組み合わせが現実的だと考えられます(この部分は複数文献の結果に基づく推論です)。


文献3(2020 / Grgic)筋線維レベルで見ても、高重量・低重量の差は小さい

文献名
The Effects of Low-Load vs. High-Load Resistance Training on Muscle Fiber Hypertrophy: A Meta-Analysis
(和訳)低負荷 vs 高負荷筋トレが筋線維肥大に与える影響:メタ解析PubMed+1

URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33312275/(抄録)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7706639/(全文)

発表年 / 著者 / 掲載誌
2020年、Grgic J により Journal of Human Kinetics 誌に掲載。PubMed+1


目的

低負荷 vs 高負荷の筋トレが、

  • タイプI筋線維(いわゆる遅筋)

  • タイプII筋線維(速筋)

の筋線維断面積(CSA)に、どのような差をもたらすかを検証すること。


方法(説明+箇条書き)

筋生検で線維レベルの肥大を測定している研究だけを集めたメタ解析です。

  • 文献検索:10のデータベース

  • 条件:

    • 低負荷 vs 高負荷(failure まで)

    • 筋生検によりタイプI / タイプIIのCSAを測定

  • 採用された研究:

    • 10グループ(複数試験)


結果

  • タイプI筋線維肥大:

    • 低負荷 vs 高負荷で有意差なし(SMD 0.28、95%CI -0.27〜0.82)PubMed+1

  • タイプII筋線維肥大:

    • こちらも有意差なし(SMD 0.30、95%CI -0.05〜0.66)PubMed+1

  • 予測区間が広く、今後の研究次第で結果が変わる余地はあるものの、
    現時点のデータでは明確な差は出ていないと結論。


考察

  • 「低負荷はタイプI、高負荷はタイプIIが付きやすい」
    といったイメージはありますが、
    現時点のエビデンスでは、“そこまでキレイに分かれる”とは言えない結果です。PubMed+1

  • 少なくとも「低負荷だと速筋が全然育たない」というほどのことはなく、ちゃんと限界までやれば、線維レベルでもそれなりに育つと考えられます(ここは文献結果に基づいた推論です)。


文献4(2022 / 体積を揃えた比較)ボリュームを揃えても、最大筋力は高重量有利

文献名
Muscle hypertrophy and strength gains after resistance training with different volume-matched loads: a systematic review and meta-analysis
(和訳)ボリュームを揃えた異なる負荷の筋トレが筋肥大と筋力に与える影響:システマティックレビューとメタ解析PubMed

URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35015560/

発表年 / 著者 / 掲載誌
2022年、J. Schoenfeld ら、European Journal of Sport Science など(詳細は抄録参照)。PubMed


目的

「負荷だけ」の影響を見たいので、
トレーニングボリューム(セット×回数×重量)を揃えた場合に、負荷の違いがどう効いてくるかを検証。


方法(説明+箇条書き)

  • 低負荷(<60%1RM)、中負荷(60–79%1RM)、高負荷(≧80%1RM)

  • 各プロトコルで、合計ボリュームが同じになるよう調整(例:高重量はセット少なめ、低重量は回数多め)

  • そのうえで、

    • 筋肥大

    • 筋力(1RM)
      を比較。PubMed


結果

  • 筋肥大:

    • ボリュームを揃えれば、負荷帯による有意差なし

  • 筋力:

    • 高負荷 > 中負荷 > 低負荷

    • 特に1RMは、高負荷で明確に伸びやすいPubMed+1


考察

  • 「トータルでどれだけ仕事をしたか(ボリューム)」が筋肥大の主役で、
    何kgで持ったかは二次的と考えられます。PubMed+1

  • 一方で神経系の適応を通じた“最大筋力”は、高重量の方が刺激になりやすいため、
    力を伸ばしたいなら高重量セットを入れる価値が高い(この部分は文献を踏まえた推論です)。


実務への落とし込み

ここからは、上記のメタ解析を踏まえた実務的な組み立て方です。
このセクションは 推論に基づいています


1. 「筋肥大だけ」を見るなら、負荷はかなり自由

  • 例:

    • 8〜12回が限界になる重量(いわゆる中〜高負荷)

    • 15〜30回が限界になる軽めの重量

  • どちらでも、限界までやれば筋肥大はほぼ同じと考えられます。PubMed+3PubMed+3Ovid+3

✔ 重さよりも、

  • セット数

  • 回数

  • 週あたりボリューム

  • 継続期間

の方が重要度が高い、というのが現在の共通見解です。


2. 最大筋力を伸ばしたいなら「高重量セット」を必ず入れる

  • ベンチ・スクワット・デッドの1RMを伸ばしたいなら、
    80%1RM(6〜8回以下)のセットを組むのが定石PubMed+3PubMed+3PubMed+3

  • 低負荷オンリーだと、

    • 筋力はある程度伸びるものの、

    • 高重量群に比べるとどうしても見劣りする傾向。


3. 関節への負担・疲労を考えると「ミックス」が現実的

  • 全身すべてを高重量だけで固めると、

    • 肩・肘・腰・膝への負担

    • 中枢の疲労
      が大きくなりがち。

  • そこで、例えば:

例:ベンチプレスの日

  • ベンチプレス

    • 3〜4セット×3〜6回(高重量で1RM寄り)

  • ダンベルベンチ or マシンプレス

    • 3〜4セット×10〜15回(中〜低負荷)

  • フライ系

    • 2〜3セット×15〜20回(軽め、パンプ狙い)

こんな感じで、「高重量+中〜低重量」を組み合わせるのが、
筋肥大と筋力の両取りもしやすく、関節にも優しい構成になります。


4. 「高重量は怖い/家トレ中心」の人はどうする?

  • 自宅のダンベルが軽い

  • 高重量を扱うのが怖い・フォームが不安

こういう場合でも、低〜中負荷で回数を増やし、“限界までしっかり追い込む”ことで筋肥大を狙うことは十分可能です。PubMed+2PubMed+2

  • 例:

    • 片手ダンベルプレス 3〜4セット×12〜20回

    • 最後の数レップが「本当にキツい」と感じるところまでやる

  • これでも「サイズを増やす」という目的であれば、
    ジムのバーベル高重量と遜色のない効果が期待できます。


ポイントまとめ

  • 筋肥大は「高重量でも低重量でもOK」。負荷よりもボリュームと継続の方が重要。PubMed+2PubMed+2

  • 最大筋力(1RM)を伸ばすには、高重量が明確に有利。PubMed+3PubMed+3Ovid+3

  • 筋線維レベルでも、現時点では高重量・低重量で大きな差は確認されていない。PubMed+1

  • 実務的には、

    • コンパウンド種目で高重量セット

    • 補助種目で中〜低負荷高回数
      の“ミックス構成”が現実的。


参考文献

  1. Schoenfeld BJ, et al. Strength and hypertrophy adaptations between low- vs. high-load resistance training: a systematic review and meta-analysis. J Strength Cond Res. 2017;31(12):3508–3523.
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28834797/ PubMed

  2. Sarto F, et al. Resistance Training Load Effects on Muscle Hypertrophy and Strength Gain: Systematic Review and Network Meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2021;53(6):1206–1216.
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33433148/ PubMed+1

  3. Grgic J. The Effects of Low-Load vs. High-Load Resistance Training on Muscle Fiber Hypertrophy: A Meta-Analysis. J Hum Kinet. 2020;74:51–58.
    URL(抄録): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33312275/
    URL(全文): https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7706639/ PubMed+1

  4. Popov DV, et al. Muscle hypertrophy and strength gains after resistance training with different volume-matched loads: a systematic review and meta-analysis. Eur J Sport Sci. 2022;22(4):541–552.
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35015560/ PubMed

  5. Schoenfeld BJ, et al. Influence of resistance training load on measures of skeletal muscle hypertrophy and strength: a systematic review and meta-analysis. Sports Med. 2021;51(3):607–624.
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33874848/ PubMed

おすすめの記事