【まとめ】筋トレ関連の最新文献【知見紹介】

①筋トレは朝と夕方どっちにすべき??

 

文献名:The effects of time of day-specific resistance training on adaptations in skeletal muscle hypertrophy and muscle strength: A systematic review and meta-analysis

(骨格筋肥大と筋力の適応に対する時間固有のレジスタンストレーニングの影響:系統的レビューとメタ分析)

 

本研究はヴィクトリア大学のJozo氏らによって20191月に発表されたものであり、筋力と肥大に対する朝と夜の筋トレの効果に関するトピックをメタ解析したものとなっております。調査・解析は以下の内容で実施されました。結果と合わせてまとめます。

 

(1)ベースライン時の朝と夕方の時間の強度発現の違い。

→通常の生活において夕方の時間は朝方と比べて優位的に強度が大きかった。

 

(2)朝と夕方の筋力評価からの介入後の筋力データを使用して、朝と夜にトレーニングする効果と違い。

→夕方の筋トレは、そのベースとなる筋力が優位的に大きいため(※1)、より強い強度がみられた。

 

3)各時間の筋トレにおける筋肥大の程度

→最終的な強度の増加傾向には両グループで有意差なし。筋肉サイズの増加においても有意差がつかなかった。

 

解説

肉体改造を目的とした筋トレという観点で中長期的にみるならば、朝でも夕方でもどちらでも筋トレは変わらないと言えます。しかしながら、運動において記録を必要とするような場合(例えば重量挙げ等)では朝よりも夕方のほうが良い成果を出せる可能性が高いとも考えられる内容ですね。

 

②筋トレ前にストレッチはしないほうがいい??静的?動的?

 

文献名:Acute Effects of Static Stretching on Muscle Strength and Power: An Attempt to Clarify Previous Caveats

(静的ストレッチが筋力と筋力に及ぼす急性の影響:警告の根拠)

 

本研究はポツダム大学のHelmi氏らによって201911月に発表されたものであり、静的ストレッチにおいて警告とその根拠、補足について紹介されています。

 

要約

過去20年、静的ストレッチはその後の運動能力において有害であると信じられてきました。

その根拠として近年の研究では、1部位当たり60秒以下の短期的な静的ストレッチではその後の筋力に12%のパワーを損なう。60秒より長期での静的ストレッチではその後の筋力に4~7.5%のパワー低下を引き起こすことが示唆されています。

さらに最近の研究では、筋肉を温めることを目的とした、動的ストレッチ含めたルーチンの場合、短期間の静的ストレッチは高強度の活動(たとえば、スプリントランニングや方向速度の変更)で特に筋腱損傷を維持するリスクの低下に寄与する可能性があることが示唆されています。

つまり、短期間の静的ストレッチでは、神経筋の活性化と筋腱の硬直は、長時間と比較して影響を受けないように見えます。そのため、短期の静的ストレッチは高負荷を要するアスリートの場合において柔軟性と筋腱損傷の予防にプラスの影響を与える可能性がある。

 

解説

筋トレ前にストレッチはしないほうが良いといった理論や動的トレーニングを行ったほうが良いといった理論は皆様も1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。私も筋トレを紹介されているYoutuberの方や漫画などでそれら情報を聞いたことがあります。最近だとアニメ化もされたダン〇ル何キロ持てる?などでも紹介されていますね。

しかし、上記のようにハイパフォーマーにおいては静的ストレッチを全くやらないというよりも60秒以内の短期的なものを1部に組み込むことが怪我のリスク低下につながると示唆されています。運動内容によってストレッチのメニューを組み替えることが最も理想的であると考えられますね。

➂ビタミンDって効果あるの?

 

文献名:Effect of vitamin D supplementation on upper and lower limb muscle strength and muscle power in athletes: A meta-analysis

(アスリートの上肢および下肢の筋肉と強度に対するビタミンD補給の影響:メタ解析)

 

本研究は20194月に上海体育大学のLin氏らによって発表されたもので、メタ解析を使用して、アスリートの骨格筋力と爆発力に対するビタミンD補給の効果の証拠を定量的に分析することを目的とされています。

 

要約

本解析には284人のアスリートを含む8件のランダム化比較試験が含まれていました。アスリートの筋力を評価するために使用されたプロトコルは、含まれている研究全体で一貫性がなく、筋爆発力は垂直跳躍試験によって評価する。

結果は、ビタミンDの補給が全体的な筋力の結果に影響を与えなかったことを示しました(SMD 0.0595CI-0.390.48p = 0.84

サブグループ分析では、ビタミンDの補給は下肢筋力(SMD 0.5595CI0.12から0.98p = 0.01)に影響を及ぼしましたが、上肢筋力(SMD -0.1995CI-0.73 0.36まで、p = 0.50)または筋肉の爆発力(SMD 0.0595CI-0.240.34p = 0.73)。ビタミンDの補給は、屋内でトレーニングを受けたアスリートの方が効果的でした(SMD 0.4895CI0.060.90p = 0.02)。

 

解説

一般的にビタミンDは食事から摂取する方法と日光を浴びるという2つの方法で得ることができます。その効果はカルシウムのバランスを整える補助機能や骨の健康を保つことに働くとされています。最近では免疫力のアップや妊娠しやすい体つくりにも効果があるといわれております。

そんなビタミンDですが、アスリートの下肢筋力にはプラスの影響を与えましたが、上肢筋力や筋力には影響しませんでした。これは下肢は歩行という能力をつかさどるため骨量や骨密度から優先的にビタミンDが働いているのかもしれませんね。また、下肢の筋トレをメインに考えている場合はビタミンDの摂取が優位に働くともいえます。

今回の内容は非常に興味深いです。内容がそろえばビタミンについて、詳しくまとめた記事を書くかもしれません。

参考文献

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/07420528.2019.1567524

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2019.01468/full

⓷https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0215826

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