タウリン〇〇㎎配合!!
このような宣伝を皆様も1度は耳にしたこと・目にしたことがあるのではないでしょうか。
では、そもそもタウリンとはどのようなものなのでしょうか。
皆様のタウリンに対するイメージはどのようにお持ちでしょうか。
以下ツイートより抜粋…
タウリンとカフェインのおかげか少し元気回復してきたかも
タウリンとビタミンB6を摂ればなんとかなる
今日もタウリンがうまい!
タウリンは必須栄養素!
皆様イメージとしては疲れ対策として摂取するものという、まさに「リポビタ〇D」のような印象を持たれているようですね。
では、実際にタウリンとはどのようなものなのでしょうか。
タウリンって何?
タウリンとは含硫(がんりゅう)アミノ酸の一種で、人間の体内で合成することができる成分です。
生体中のほとんどすべての組織に存在していますが、植物に含まれる量はわずかで、いかやたこ、貝類、魚の血合いなどの魚介類に多く含まれています。人間では心筋や筋肉、目の網膜、脾臓、脳、肺、骨髄などに存在していますが、体内の全タウリン量の50~80%は筋肉に存在するといわれています。
タウリンは、厚生労働省が定める「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」に区分されています。
これは、食品中の成分の薬理作用の研究が進んだ結果、疾病の予防などの効果をうたった健康食品が出現したため、医薬品との区別をつけるために厚生労働省が定めたものです。
そのためタウリンは、抽出物や生成物として食品に添加することができないことになっています。
タウリンは、人間の体内で胆汁の主要な成分である胆汁酸と結合し、消化作用を助けるほか、神経伝達物質としても作用します。
(わかさ生活・わかさの秘密より参照:参考①)
タウリンの効果は?
タウリンは上記の通り医薬品として使用される成分に該当する為、様々な効果があるとされています。
医薬品にタウリン製剤も存在しており、効能効果としては以下となっております。(2020年8月22日現在)
・高ビリルビン血症(閉塞性黄疸を除く)における肝機能の改善
・うっ血性心不全
・ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作(MELAS)症候群における脳卒中様発作の抑制
効能効果に関連する使用上の注意
MELAS症候群における脳卒中様発作の抑制においては、臨床試験に組み入れられた患者のミトコンドリア遺伝子の変異型について、【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
医療用医薬品:タウリン 添付文書より参考②
また、一般的には以下の健康効果があるとされて示唆されております。
・コレステロール値を下げる効果
・動脈硬化を予防する効果
・高血圧を予防する効果
・視機能を改善する効果
・むくみを予防・改善する効果
・便秘を解消する効果
筋トレにおける効果は? 参考➂
タウリンに関する研究の中で最近公開された文献を示します。
文献名:Taurine enhances skeletal muscle mitochondrial function in a rat model of resistance training
(タウリンは抵抗トレーニングのラットモデルで骨格筋ミトコンドリアの機能を高める)
この研究は2019年9月にScienceDirect Pharma Nutritionに掲載されたもので中国の山西農業大学のモハンマド氏らによって発表されたものです。
骨格筋機能に対するタウリン補充による抵抗トレーニング(RT)への効果を評価したものとなっており、試験デザインとしてはラットを8週間の期間、タウリン(100、500、および1000mg / kg /日、gavage)各量摂取しながらトレーニングを実施しました。
結果としてラットの体重増加量を有意に低下させ、RTラットにおける体重運搬能力を増強することが判明した。ミトコンドリア指数(デヒドロゲナーゼ活性、ATPレベル、および膜電位を含む)は、タウリン補充において有意に増加した。これらのデータは、骨格筋機能に対するタウリンのプラスの効果を示しております。したがって, タウリンは、筋肉機能とスタミナを強化するために有用であることが示唆されております。
解説
当研究をざっくりもとめると、タウリン補充によってミトコンドリア活性が高まり基礎代謝が増加、筋肉単位での活動量・持久力などが増加したということになります。
しかしながら、当研究で使用されたタウリン補充量は100、500、および1000mg / kg /日となっております。これは人間の体重70㎏と仮定すると、其々7,000㎎、35,000㎎、70,000㎎となります。
これは食品で例えますと、タウリンが豊富に含まれているとされる牡蛎やサザエで換算でも700g、3,500g、7,000gとなります。
毎日1キロ近い量を摂取しなければならないということになります。
また、医療用医薬品のタウリンでの用法用量としても以下のようになっており、如何に7,000㎎というタウリン摂取量が多いかが分かります。
・高ビリルビン血症(閉塞性黄疸を除く)における肝機能の改善、うっ血性心不全
タウリンとして、成人1回1gを1日3回食後に経口投与する。なお、うっ血性心不全に用いる場合、本剤は強心利尿剤で十分な効果が認められないときに、それと併用すること。
・ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作(MELAS)症候群における脳卒中様発作の抑制
タウリンとして、下表の1回量を1日3回食後に経口投与する。
体重 / 1回量
15kg未満/1g
15kg以上25kg未満/2g
25kg以上40kg未満/3g
40kg以上/4g
しかも、タウリン100㎎ / kg /日をただ摂取するだけならば、トレーニングのみ実施したマウス群の方が高いミトコンドリア活性を示したことを示唆されております。
よって筋トレの効果向上を目的としてタウリンを摂取するのであれば、あまりオススメできないということになります。
疲労回復など健康を意識して補充するというのならばいいのでは?といった感想です。
わかさのページでは、タウリンに関する研究の文献が参考としてまとめられていますので、もしよければ閲覧してみては?