【最新研究報告】コーヒー×カフェインって筋トレに良いの?

みなさま、コーヒーはお好きでしょうか?

コーヒーに含まれるカフェインは集中力の向上や覚醒効果などがあるとされ、勉強や仕事などの作業中に飲まれる方もおられるのではないでしょうか。

そんなカフェインですが、筋トレには良いのでしょうか?

一見して集中力を上げる可能性があるのだから効果が向上するのではないか?

コーヒー程度では筋トレに影響ないのではないか? など

さまざまなご意見があるかと思います。

今回は、そんなカフェイン×筋トレの関係についていくつかの文献を紹介させて頂ければと思います。

カフェインって何?

カフェインは、アルカロイドの1種であり、プリン環を持ったキサンチンと類似した構造を持った有機化合物の1つとしても知られる。ヒトなどに対して興奮作用を持ち、世界で最も広く使われている精神刺激薬である。カフェインは、アデノシン受容体に拮抗することによって覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用を示す。主に、コーヒー飲料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ココア、コーラ、エナジードリンクや栄養ドリンクなどの飲料、チョコレートなどにカフェインが含まれる。(Wikipedia参照)

カフェインはラグビー選手の筋トレ効果を補強するのか?

文献名:Can 3 mg·kg−1 of Caffeine Be Used as An Effective Nutritional Supplement to Enhance the Effects of Resistance Training in Rugby Union Players?

(3mg-kg-1のカフェインは、ラグビーユニオン選手の筋トレ効果を高める効果的な栄養補助食品か?)

 

この研究はイギリスにあるコベントリー大学のRyan A氏らによって発表され、2021年9月にMDPIに掲載されたものとなっております。

 

目的

3mg-kg-1のカフェイン摂取が、ラグビーユニオンの男性選手の膝と肘の屈筋と伸筋の最大随意的なコンセントリックストレングスとエキセントリックストレングスに及ぼす急性の影響を評価すること。

被験者間実験デザインを用いて、ベースラインの筋力を一致させた参加者の7週間のレジスタンストレーニングプログラムへの適応に対する3mg-kg-1のカフェイン摂取の効果を評価する。

被験者内実験デザインを用いて、トレーニングプログラム終了後の膝と肘の屈筋と伸筋の最大随意性コンセントリック筋力とエキセントリック筋力に対する3mg-kg-1のカフェイン摂取の急性効果を再評価する。

 

対象

・コベントリー大学男子ラグビーユニオンチームの30人

年齢:20±2/身長(cm):181 ± 7/体重(kg):92±17

 

プロトコルと評価

被験者は以下のカフェイン投与群とプラセボ郡に分けられた。

年齢 (カフェイングループ: 20 ± 2 ; プラセボ グループ: 19 ± 2 ;p = 0.66)

身長 (カフェイン群: 181 ± 8 cm; プラセボ群: 181 ± 5 cm;p = 0.78)

体重(カフェイン群:89±10キロ;プラセボ群:95±22キロ;p = 0.30)

上記項目および各群のカフェイン消費量においても群監査は見られなかった。

 

これら被験者を本試験にて筋トレに対するカフェインの効果を、二重盲検法による被験者間実験デザインを用いて評価した。参加者は,各トレーニングセッション開始の12時間前にカフェインを控えるよう求められた。各トレーニングセッション開始の45分前に、カフェイン群の参加者には3mg-kg-1のカフェインを、プラセボ群の参加者には同量のマルトデキストリンを、それぞれ前述の方法で摂取してもらった。筋トレの目的は、上半身と下半身の最大筋力と筋持久力を向上させることであった。参加者は、上半身と下半身の筋肉に焦点を当てた静的および動的ストレッチで構成される標準的なウォーミングアップの後、8つのエクササイズで構成されるサーキットトレーニングプログラムを行いました。

エクササイズは、CP(チェストプレス)、SSP(着席肩プレス)、SQ(スクワット)、DL(デッドリフト)、PC(パワークリーン)、HC(ハングクリーン)、シットアップ、プレスアップであった。CP,SSP,SQ,DL,PC,HCの負荷は1RM70%とし、腹筋と腕立て伏せは外部負荷をかけずに行った。介入期間中,すべてのエクササイズは「失敗するまでの反復」(RTF)で実施された。つまり,参加者は1RM70%を疲労困憊するまで持ち上げた。すべての参加者は、上半身と下半身のエクササイズを交互に行い、全8回のエクササイズを2周した。エクササイズの間には最低2分間の休息を取り、サーキットの間には10分間の休息を取った。各エクササイズの後には、成功した反復回数とRPEを記録した。サーキットトレーニングのセッションは、火曜日の朝と木曜日の夕方、7週間にわたって行われた。7週間の介入トレーニングプログラムが終了した時点で、すべての参加者が1RMの再評価を行った。

 

結果

・試験全体での評価では有意な相互作用はありませんでした (上図: p = 0.998)。

・SSP、SQ、DL、およびHCのカフェイン群では、トレーニング介入全体のRTFが高かった(上図: p < 0.037 d < 0.13)。

・PCではプラセボ郡がカフェイン群を上回る(上図:p=0.005 d <0.18)

・CP(図5:p= 0.618)のグループ間の差異はなかった。

特定のセッション間にはいくつかの違いがありましたが、介入の期間が長くなるにつれて、CPSSPDL、およびPC RTFの増加に対する明確な傾向がありました。

SQおよびHCの両方について、カフェイン群のセッションRPEはプラセボ群のそれよりも低かった(S2:p<0.035 d <0.62) CPSQ、およびDLの場合、セッション(S2: p <0.034)の主な効果がありました。ペアワイズ比較では、SQ DL に対してセッション固有の違いがいくつか表示されますが、明確な傾向はありません。さらに、すべての演習では、Set2(S2:p<0.044 d > 0.49)と比較して、Set1RPEが高いという主な効果がありました。有意な相互作用はありませんでした ( S2: p > 0.072)

本研究のデータは、訓練介入の前に3mg·kgの急性摂取を示す-1カフェインは筋肉の強さの特定の尺度を増加 - と収縮モード特異的な方法.7週間のレジスタンストレーニングプログラム中にカフェインを毎週2回摂取することは、急性の利益を呼び起こすカフェインの能力にほとんど影響を及ぼさなかった。7週間のレジスタンス訓練介入は、カフェイン処理群でのみ改善された膝伸張器のPT以外の1RMと最大イソキネティックトルクの特定の尺度を有意に改善したが、各セッション前にカフェインを消費したグループの間で、プラセボを消費したグループと比較して、利益は統計的に異ならなかった。運動介入の完了時のパフォーマンスのこの同様の増加は、介入の過程でカフェイン群の多数の演習のために行われた抵抗運動の繰り返しの数が多いにもかかわらず明らかでした。したがって、この研究の結果は、次のことを示しています: (1) 3 mg·kg-1筋肉の強さの急性の強化を呼び起こすのに有用かもしれない;(2) 3mgkgの比較的短期間の慢性摂取-1カフェインのその効果に慣れがない可能性があります。;(3) 慢性カフェイン摂取 7週間は、強度の抵抗トレーニング誘発利益を高めないかもしれない.

 

本文献のまとめ

本文献では運動習慣のある大学ラグビー選手を対象とし、カフェインの継続的な摂取と筋トレの関係性を示したものとなっております。結果として、慢性的なカフェイン摂取と筋力向上の関連はみられなかったとの内容となっております。一方でカフェイン摂取に伴う急性的な効果としてはSSPDLSQHCでは見られたものとなっております。しかし、長期で見た際にSQHCはプラセボよりも低いことから、カフェイン摂取の急性的な効果を意識するならばSSP、DLの2種目が注目できるということになります。

では、ほかの種目ではどうなのでしょうか?

 

 ②ベンチプレス×カフェインでは?

文献名:Pre-exercise Caffeine Intake Enhances Bench Press Strength Training Adaptations

(運動前のカフェイン摂取はベンチプレス筋力トレーニングの適応を高める)

 

この研究はスペインのマドリードにあるカミロ・ホセ・セラ大学のベロニカ氏らによって発表され20211月にSports and Exercise Nutritionに掲載されているものです。

 

目的

4週間継続するベンチプレス筋力トレーニングプロトコルによって得られる筋パフォーマンス適応に対する運動前のカフェイン摂取の効果を調べる。

 

対象

1年以上の健康運動経験者16(12人の男性と4人の女性)

内訳(平均±標準偏差)

・年齢27.9±7.2

・体重71.7±10.0キロ

・身長173.0 ± 7.0 cm

・体脂肪率 18.3 ± 8.1%

 

プロトコルと評価

・被験者を無作為に2群(カフェイン摂取郡(n=9)とプラセボ郡(n=7))に割り付けます。

・両群は、各トレーニングセッションの開始前に、不透明で識別できないカプセル1時間を摂取するように指示された。カプセルは、実験結果に目がくらんだ専門の研究者によって調製され、摂取は別の研究者によって確認されました。カフェイン群では、カプセルにはカフェイン(3mg/kg/BM;100%純度、バルクパウダー、英国)が含まれ、プラセボ群には不活性物質(セルロース;100%純度、ギナマ、スペイン)が含まれていた。

・参加者全員がベンチプレス練習で12回のトレーニングセッションから成る4週間の筋力トレーニングプロトコルを実施し、週に3回のセッションを実施しました。セッションの間は少なくとも48時間あり、毎週月曜日、水曜日、金曜日に行われました。

・全セッションにおいて統計解析を行い、1REP筋力、平均速度、ピーク速度、平均電力、ピークパワーを評価した。

 

結果

・1REP筋力について

両群ともにトレーニング前のベースラインと比較し優位に筋力増加がみられた。

しかしながら、両群間における有意差はみられなかった。

・平均速度について

どの荷重でもグループ間の平均速度変化に違いはなかった(p > 0.05)

・ピーク速度

どの荷重でもグループ間のピーク速度変化に違いはありませんでした(p > 0.05)

・平均電力

どの荷重でもグループ間の平均変化に違いはなかった(p > 0.05)

・ピークパワー

どの負荷でもグループ間でピーク電力の変化に違いはありませんでした(p > 0.05)

 

本文献のまとめ

ベンチプレスにおいて、カフェインの摂取の急性的な効果はほぼないといって過言ではないということが分かりました。①にて紹介しました文献でもチェストプレスで効果がみられていなかったことから、特に胸周辺の筋肉においてカフェインは効果がないことが示されているかと思います。これまで2つの文献を紹介しましたが、摂取したカフェイン量が少なかったのではないか?という疑問がある方もいるかもしれません。いずれの文献においてもカフェイン摂取量は(3mg/kg)となっています。体重70Kgの人ですと210㎎のカフェイン量です。厚生労働省の発表では健康成人の摂取量は最大400/日(コーヒーをマグカップで約3杯)までとされており、210㎎ですとマグカップ約1.5杯程度となります。そこから考えても、筋トレ前に摂取できるカフェイン量としては妥当なラインではないかと感じます。

 

③全体を通じて

残念ながら筋トレにおいてカフェイン摂取は明確は効果が見いだせないという結果となりました。

しかしながら、今回紹介しました文献はいずれにおいても被験者数が少なく、まだまだ検証の余地を残したものとなっております。

事実、過去の文献では有意差がついたという報告もあります。しかしながら、それらにおいても被験者数の少なさは避けられません。

被験者数を増やした試験やメタ解析を行った報告があれば改めて更新したいと思います。

参照元

・カフェイン(Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%B3

 

Can 3 mg·kg−1 of Caffeine Be Used as An Effective Nutritional Supplement to Enhance the Effects of Resistance Training in Rugby Union Players?

https://www.mdpi.com/2072-6643/13/10/3367/htm#app1-nutrients-13-03367

 

Pre-exercise Caffeine Intake Enhances Bench Press Strength Training Adaptations

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2021.622564/full

 

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